本当の豊かさって・・・



もうすぐ夫の母は、83回目の誕生日を迎えます。
今日は、そのお祝いに、美々卯にうどんすきを食べに行きました。
おいしいうどんすきを味わいながら、お義母さんの思い出話に花が咲き、楽しいひと時を過ごすことが出来ました。


夫の母は、5年前に義父が亡くなってから、今の介護付きの老人専用の住居に移り住みました。
夫婦二人で郊外の一軒家に住んでいたのですが、環境はいいけれど、車がないと不便なところで、年齢とともに、体調の悪さが重なり、長年慣れ親しんだ家を離れ、新しい生活をスタートさせたのでした。


義母はとても明るく、ユーモアのセンスも抜群で、前向きな考えの持ち主です。
今の暮らしもすぐに受け入れ、食事を作らないでいいことや、洗濯、掃除、買い物などの日常のお世話をしてくださることが、気に入って、とても楽しそうに毎日を、送っています。


そんな社交的な性格のお蔭で、すぐに気の合うお友達もでき、電話をしても繋がらないことも良くあるほど、お友達同士お互いの部屋を行き来して、楽しんでいるようです。


高齢になってから、長年住み慣れた環境を変化させることは、本当に大変なことだったと思います。
今まで広い一軒家に住んでいたのに、狭いワンルームになったことで、不自由さもいっぱいあることでしょう。
でも義母は、文句一つ言うことなく、受け入れ、その中で、新しい発展を遂げているのですから、本当にすごい人だと、尊敬しています。


ある日、その施設のパンプレットをみて、びっくり!!
そこには、とても穏やかに笑っている、義母の写真があったのでした。


「わぁ〜!! お義母さんも有名人ね!」と私。
「そうなのよ〜」少し照れながらも、義母の笑顔は輝いて、とても幸せそうに見えました。


新しい入居者が入ってきた時は、もちろん世話好きな義母の出番です。
にこにこ笑顔で話しかけ、みんなとのかけはしになっているようで、スタッフの方にも、、「準職員」とか、「広報担当」と言われ、・・・(笑)
いつしか、なくてはならない存在になっているようです。


そんな義母ですが、実はこの5年間に4回も大きな手術、入院を繰り返し、一時は、またこのような日常に戻れるのだろうかと、心配した時期もありました。
今は完治し、すっかり元気を取り戻していますが、ここに至るまでには人に言えない程の、とても辛い思いもしたことだろうと思います。


しかし義母は、毎回の私達の心配をよそに、その全てを受け入れて克服し、また、明るい義母に復活を遂げるのですから、本当に頭が下がります。


以前から短歌の会にも所属し、月に一度、歌会に出向いて行っていたのですが、手術後はそれもままならなくなったと残念に思っていたら、いつの間にか、入居者で仲間を募り、今度は俳句の会を結成し、月に一回の句会をリビングで楽しんでいるようです。


私は義母の生き方に、学ぶこといっぱいあります。


明るさ、前向きさはもちろんのこと、今を精一杯楽しむこと、全て良い方向に物事をとらえる考え方、人のいいところをみて悪く言わないこと、感謝すること・・・・


義母をみていて、私はいつも、「なんて豊かなんだろう」と思っています。
本当の豊かさは、お金や、環境ではなく、本人の心そのものなのだと・・・
そしてその豊かさは、涸れるれることなく溢れ出て、周りの人まで豊かにすることが出来るのだと。


私もお義母さんのように豊かでありたいと、いつも思っています。




 義母の短歌

  
  ワンルームと 小さきベランダ これだけの 終の住処に 満たさるる日々