伊勢神宮  風の贈り物



7月15日。
母と妹と私の親子3人で、伊勢神宮にお参りに行きました。


3人揃っての参拝は、今回で2度目です。


3人にとって、とても悲しい出来事があり、受け入れきれない思いを抱え、すがるような気持ちで訪れた2年前のことが、もう遠い昔のように、思われて・・・


前回は、朝から雨が降り、ついには雷まで鳴るような悪天候で、まるで浄化の雨だったのかと思うほど。
足の悪い母を気遣いながら、ただひたすら、神楽殿を目指して、歩いたことを思い出します。


でも今回は、梅雨もまだ明けていないというのに、朝から素晴らしい晴天に恵まれ、日差しは少しきついけれど、空は澄み渡り、緑はとても美しく、すべてが初めて見た景色のように輝いて見えました。


あの時と状況は何一つ改善していないけれど、みんなの気持ちは、大きく変化したように思います。


流れゆく時間は、悲しみを癒してくれました。
すべてを受け入れ、今を楽しめるようになって、あの頃よりも、ずっと心豊かに生きているような気がします。


外宮でご祈祷を済ませ、内宮で御神楽の申込みをした後、まずは拝殿へ。
広くきれいな石段を一段ずつ踏みしめながら、天照大神の御前に立ったその時・・・


大きく風が吹いて、拝殿の正面にかけてあるとばりが、2〜3回ゆらゆらと揺れたかと思うと、突然大きくとばりが上がったのでした!!
なんとそれは、完全に直角まで上がり、普段は見えない、中の玉砂利の空間と、本殿がはっきり見渡すことができたのでした。


「わぁ〜〜〜!!!   すごい〜!!」


まさに感動の瞬間でした。


「ありがとうございます・・・  ありがとうございます・・・」
私は大きな感謝の気持ちを込めて、ありがとうと繰り返していたのでした。


それがいったいどれくらいの時間だったのか、よく覚えていないのですが、多分10秒くらいだったのでしょうか・・・お祈りを終えたとき、静かにとばりは降りて、もとの静けさを取り戻したのでした。


小林正観さんの本に、「風も吹かないのに、まるで鉄板のように上がった」という体験を、読んだことはありましたが、私にはそんな霊的な力などなく・・・
ただ、自分は自然に守られていて、風の贈り物であったということは、はっきりと信じることはできました。


今生きていることも、自分の力だけではなく、生かされているということ。


そういう思いで、神仏の前では、お願い事ではなく、感謝の言葉を言い続けていたことは事実です。
でも、こんなことが起きると、それは確信へと変わり、ゆるぎないものとして、自分の体の中にしっかりとおさまったような気がします。


すがすがしい気持ちでお参りを終え、神楽殿へ向かう足取りはとても軽やかで、笑顔に満ちていました。