虹の祝福


昨年から夫と西国三十三所観音霊場巡りをしています。
秋はご本尊の御開帳が行われるお寺が多く、行きたいお寺は沢山あるのですが、その中でも特に三井寺如意輪観音様に会いたくて、10月になるのを心待ちにしていました。
今回の三井寺の御開帳は31年ぶりになるそうで、どうしてもこの機会を逃すわけにはいかず、朝、母の様子を見に行ってからの少し遅い出発にはなったのですが、思い切って出かけることにしました。


三井寺如意輪観音さんは寄木造、漆箔を施した端正なお姿で、期待どうり本当に素晴らしく、そのお顔はとても美しいけれどもあどけない表情をされていて、優しさと慈悲に溢れているように見えました。
その包み込まれるような優しさに魅せられ、私はしばしその場を立ち去ることが出来ませんでした。


その後、もう1か所京都の行願寺を訪れ朱印をもらった頃にはもう4時を過ぎていて、帰るためにすぐ近くにある京都御所を通り抜けて、京阪出町柳駅まで歩いて向かうことにしました。


京都御所に足を踏み入れた途端、そこはまるで別世界、都会の喧騒を忘れさせてくれるようなゆったりとした景色が広がっています。
悠久の歴史を感じさせられるような、時間を超越した広大な空間。
やっぱり京都っていいなぁって感動しながら広い砂利道を進むうちに、ふと遠い昔の思い出がよみがえってきたのです。


今から36年前・・・高校3年18歳の秋、受験を間近に控えた頃、夫と私は付き合い始めたのです。
お互い別々の京都の大学を目指し、一緒に京都に通うことを夢見て勉強していたあの頃、初めてのデートはあこがれの京都だったなぁ。少し肌寒さを感じた秋の日、二人でこの御所を歩いたよね・・・
青春真っ只中の自分たちの姿を思い出し、少し照れくさくもあり・・・今日ここに来るまですっかり忘れていた思い出です。


「あぁ〜!!ここが私達のルーツかもね〜。」
なんて、ちょっと感慨に浸ろうと思ったその途端、パラパラと小雨が降りだしたのです。
秋晴れの予報で、もちろん雨具などの持ち合わせはなく、私達は雨を避けるため、生い茂った樹の下を歩くことにしました。雨のお蔭で、草や樹木も天然のアロマの香りをより一層放っていて、マイナスイオンがいっぱい、とても気持ちいいのです。
最近かなり疲れが溜まっていた私にとっての恵みの雨のように思われ、思いがけないプチ森林浴を楽しむことができました。


しばらくして雨もおさまり、ふと東の空を見上げると、


な、なんと・・・そこにはきれいな虹が出ていたのです!!



「うわぁ〜!!  きれい〜!!」


そして私には、それが自分たちへの祝福の虹のように思えたのです。
だって・・・今日は10月10日、私達の30年目の結婚記念日だったのです。


お祝のディナーも、ケーキも、花束も(笑)なにもない結婚記念日と思っていたけれど、この虹が出てくれたことで、とても素晴らしいギフトを受け取った気がします。
そして何よりも、すべては繋がり守られているという実感!!


こんな素敵な思い出を作ってくれた虹に・・・感謝です。