ラマーズ Baby 真梨誕生!!



最近、「エッセンス オブ タッチ」の全6回講習に通っていて、タッチについて勉強しています。
生まれた直後の触れられる体験が、その後の母子関係や、人生に大きく影響を及ぼす・・・ってことを学びながら、遠い昔ことを思い出しました。


もう26年も前のことですが・・・


娘の真梨は助産院でラマーズ法で出産しました。
今でこそ、病院でも呼吸法や、アロマなどを用いたり、夫の立会出産などはメジャーになりましたが、当時はまだあまり知られていなくて、「何かあったら不安。本当に大丈夫なの?」などと否定的な声を背に受けながらも、私はきっと大丈夫という確信のようなものがあり全く迷いはありませんでした。


3歳年上の長男の出産は、当時主流だった病院出産でした。
器具に繋がれ、砕けそうな腰の痛みに耐えながら、横を向くこともできず、一晩中孤独に耐えたつらい体験があり、もうそんな出産はしたくないと思っていました。
そんな時、近所に住んでいた先輩ママさんに、とても素晴らしい助産師さんがいるという話を聞き、次、妊娠した時は、絶対その助産院にお世話になろうと決めていたのです。


当時50代後半くらいだったと記憶しますが、その助産師さんはとても人間愛に溢れた素晴らしい方で、自然に沿ったお産を守り通しながら、お母さんや子供達にも母子関係の大切さを教えるような活動をされていました。
人間としての魅力に溢れ、尊敬できて、安心してついていくことが出来たのです。


出産は母親一人のものではないという考えのもとに、確か3〜4回あった母親教室は、当然夫も同伴です。
受精に至るまでの生命の神秘や、子宮の中でどのように成長していくか、妊娠中の生活指導や、いよいよ出産のときの痛みを逃す呼吸法、そしてその時の夫のサポートの仕方などを、一緒に学びました。


まったくの自然分娩です。甘えは許されません。
お母さん自身が自分の身体への意識をしっかり持ち、責任を持つことを教えられました。
そのため、妊娠中の生活指導はかなり厳しく、必要以上には絶対に太らないこと、太りやすい後半の体重増加との戦いが一番大変でした。
産道に肉が付き、硬くなるとと楽なお産が出来ないので、とにかくよく動くことを教えられました。
毎日いっぱい歩き、しゃがんでの拭き掃除や、洗濯の干し方での工夫・・・安全で楽なお産への準備は続きました。


食生活の意識も高め、妊娠中不足しがちなカルシウムや鉄分などを薬に頼らず、毎日の食事で摂取する方法など、細やかな指導のお蔭で、とても健康的に妊娠期間を乗り切ることができました。
妊娠すると太りやすい私は、前回の半分の8キロ増加で何とかセーフ。


そしていよいよ出産当日。
昼間長男を連れて公園に出かけ、夕食後にお産を知らせる兆候があり、8時ごろ助産院に入院。
本当は2歳11カ月になる長男も、是非、兄弟の誕生の瞬間に立ち会わせたかったのだけれど、夜ということもあり断念。
おばあちゃんと一緒にお留守番です。


2人目で道がついていた上、先生の指導をちゃんと守り、運動も十分だったためか、強い痛みが来てからは、わずか2時間くらいのあっという間の楽なお産でした。
繰り返し訪れる激しい痛みにも、夫も一緒に呼吸法をしながら、腰のマッサージ。痛みがすっと逃せるから不思議です。


いよいよ生まれる瞬間は、夫は私の背の方に廻り、少し起こした私の身体を後ろから支え、夫の手を握ってのいきみでした。
先生はずっと会陰保護をしながら、上手に導いて下さいました。
分娩台の正面には小さな鏡が付いていて、最後のいきみの後、赤ちゃんの真っ黒な髪の毛が見えたのです。


あぁ〜!  生まれる!!


次の瞬間、ベテランの助産師さんの手によって取り上げられた赤ちゃんは、元気な産声を上げました。


待望の女の子の誕生です!!
私は娘がこの世に誕生するその瞬間を、しっかりこの目で見届けたのでした。


簡単に娘の濡れた身体を拭きとった後、タオルにくるんで私の胸の上に乗せて下さいました。
娘と私はまだしっかりとへその緒で繋がったままの、ご対面です。


ありがとう・・・良く頑張ったね・・・
羊水の少し生臭い匂いがしたことまで、はっきりと私の記憶に刻まれています。


そのあと夫の手によってへその緒を切り離し、娘は一人の人間としての第一歩を踏み出したのです。
色々な処置の後、産湯につかりきれいになった娘は、再び私のもとに。
初めての授乳です。
ついさっき生まれたばかりということが信じられないくらいに、本当に力強くおっぱいに吸いつき、ゴクゴクとおっぱいを飲む姿に、この子の持っている生命力の強さを感じました。


感動!!  ただ感動です。


一晩中一人で痛い痛いと呻き続け、孤独と戦いながらの出産。娘と同じ体重でありながらも保育器に入れられ、初乳も与えることが出来なかった、前のお産とは明らかに違っていました。
生んだ直後に、もう一度この感動を味わいたいと思ったほど・・・・とても素晴らしく100点満点のお産でした。
そして、長男にもこうしてあげたかったと、申し訳ない思いにもなりました。


その夜だけは先生が預かって下さったのですが、翌朝からは母子同室。
時間を決められることもなく授乳し、会いに来てくれた人はいつでも抱っこ出来る、そんなアットホームな入院生活でした。


産婦人科に勤めている知人から、最近は母子同室を希望するお母さんがほとんどいないということを聞いて、とても残念に思いました。
赤ちゃんはずっとお母さんの子宮の中で守られ、安定していたのに、世の中に出てきてきっと不安に違いなく・・・
赤ちゃんは本能的にお母さんの匂いがわかるのだから、もしも許されるのならば、お母さんのそばに置いてあげて欲しいと、自分の体験を通して強く思います。


わずか2680グラムで誕生した小さな小さな赤ちゃんは、とても元気に成長し、今日、26回目の誕生日を迎えました。


私はたった一人の娘を、大切に大切に慈しみ守り続けてきました。
でも、もうそろそろ私の役割は終わりのようです。
結婚を意識する年齢を迎え、一緒に暮らせる日ももう長くないのだろうと思います。


ずっと持ち続けてきた私のバトンを、いつの日か、彼女が選んだ大切な人に渡すのだと思っていました。
でも・・・今、そのバトンをいったん娘の手に戻そうと思っています。
そして、娘が自分自身で持ち、自分の目で見極めた素敵な人が現れた時、二人で持って走って行って欲しいと思えるようになりました。


私が守り続けた娘は、幼稚園の先生として、沢山の子供たちを守る立場になっています。
そんな娘の選択を私は信じ、応援して行きたいと思っています。


助産師さんが教えて下さった言葉が、今も心に残っています。
「誕生日にはいつもその子の生まれた時のことを話して聞かせてあげてね。
そうしたら命を粗末にするようにはならないから・・・」
今日このブログを書きながら、何年も忘れていたその言葉を思い出したのです。




真梨 お誕生日おめでとう!!


そして・・・私のところに生まれて来てくれてありがとう・・・