じっくりと味わってね。


先日ある番組で、大阪人と東京人を比較して、大阪人がどれほどせっかちかという実験をしていたのですが、それを見ながら、「大阪の人って本当にせっかちだよなぁ。」「わかる、わかる!!」と共感しながら、それと同時に、自分が大きく変化していることに気がついたのでした。


今思えば、大阪生まれ、大阪育ちの私は、いつもせかせか忙しく生きていたように思います。
夫の転勤に伴い、北九州や、横浜に移り住んだことで、大阪で常識だったことも地域によりこんなに違うのだということを知り、大阪を客観的に眺めることが出来るようになったのですが、自分の行動レベルでは、ほとんど変わっていなかったのだなぁって、昔の自分を思い出しています。


大阪人の中でも特に行動の早い私は、何事も手早くこなし、次々に次の目標を定めては、それに向かって頑張っていたし、何よりも頑張っている時の自分が好きだったから・・・まぁ、そうなっても仕方ないことなのかもしれません。


当然のことながら、食べるのも早い。
歩く速度に至っては超高速!!・・・時速6キロのウオーキングの効果を考えて、いつも早歩き。(笑)
ぼんやり過ごす日があると、人生を無駄にしている気がして、「時間がもったいない」と罪悪感で落ち着かなかったっけ。。。


でも最近の私は、時間に追われることが嫌で仕方なく、とてもゆったりと生活しているような気がします。
というか、無理な予定を入れなくなったので、随分のんびりと行動できるようになりました。


環境は今までと何一つ変わっていないのだけど、変わったのは自分の考え。
そして・・・生き方。
「まぁいいか」が口癖になり、完璧にこなせなくても、全く気にならなくなりました。
このままではいけない、まだ足りないという不安にとらわれ、何かを追い求めることもなくなり、ゆっくりと今を楽しむことが出来るようになったからだと思います。


超せっかちな私が、そのように大きく変化したきっかけは・・・
昨年の4月から1か月間、エサレンボディワークの資格取得のためのクラスに参加するため、バリに1か月間滞在したこと。


「人生を変えたい!!」と思いで、英語もろくにしゃべれない私が、主婦という役割を一旦手放し、一人でバリに向かう飛行機に乗った大冒険は、私の人生を大きく変化させたのです!!


バリで開催されたスクールは、約30人くらいの国際クラスでしたが、日本人の生徒は9人、欧米人が10人くらい、あとインドネシア人が10人くらい、そしてスタッフも10人くらいの大所帯で、28日間一緒に学び、感動を共にしたことにより、私は日本だけではない世界を垣間見たような気がします。


ホテルは、ウブドにあるアナンダコテージ。自然豊かなコテージは、テレビもラジオも、電話すらない生活で、アヒルが散歩し、カエルの大合唱が聞こえるようなのどかなところで、常に自然との一体感を感じることが出来ました。


朝は7時からヨガやダンスのクラスから始まり、朝食の後、10時から朝のマッサージのクラス、お昼の長い休憩の後、午後のクラスがあり、毎日終わるのは夜の7時という、一日中勉強の毎日でしたが、週末は仲間とバリを満喫、とても素晴らしい経験をすることが出来ました。


マッサージの授業で、私はアメリカ人の先生トムから、いつも動きが早いことを注意されていました。
通訳の人が気を遣い「私達は関西人だから、いつもbusy busyって忙しくしているんです〜。」ってフォローしてくれるくらい、私の動きは早かったのだと思います。


トムは私に、「なぜ、そんなに急ぐ必要があるの? 焦ることは何もない。自分も昔ニューヨークに住んでいた時は、行動が早かったけど、今はゆっくりになったよ。」
「歩くのもゆっくり、食べるのもゆっくり、行動を全てゆっくりしてごらん。マッサージもゆっくり動いて、クライアントを感じることが大切だよ。」と教えてくれました。


日本では遅いことは注意の対象になるけれど、早いことで注意を受けたことなどなく・・・私は戸惑っていました。
でも、トムの温かい言葉を心で受け止め、それ以来私は、技術を覚えることよりも、自分が落ち着き、ただゆっくり行動することだけに集中したのです。
その甲斐あって、バリ滞在の後半にはゆっくり動けるようになり、トムにもOKサインをもらうまでになりました。


もちろん、バリの美しい自然の中での、ヨガや瞑想、チャネリング、ダンス・・・その全ては、私に本当の自分らしさを取り戻させてくれました。
そして運命的に出会った素晴らしい仲間との深い繋がりは、今も私の心の支えになっています。


バリから帰って1年半が経過しましたが、私にとってこの歳月はいつにもましてゆっくりと流れたように感じられて・・・
自分の魂レベルでの変化に伴って、周りの環境も大きく変化し、心がざわめくことも多く、かなり大変な日々でした。
今振り返ってみれば、苦しかったけれど、本当の自分と出会うための浄化の日々だったような気がします。


都会の喧騒の中で、あの研ぎ澄まされた空間が遠い昔のように思え、現実の生活に染まっていく自分にどうしようもない程の不安を覚えることもあるけれど・・・
そんな時、私はいつも空を眺めます。
心の故郷バリに繋がる空を眺めることが、いつしか私の生活の一部になりました。


今の私は、時間と競争して動くことはなくなり、全てのことをことをじっくりと五感で感じながら、味わえるようになっています。
これがあの時叩き込まれた「今に生きる」ということだと、今頃になって本当の意味で理解できたのでした。


「こなす」のではなく、「じっくりと味わうこと」・・・
もうせっかちな昔の自分には、決して戻ることはないでしょう。


大切なことに気づくことができた幸せを、今、改めて感じています。


    
   ☆ 2010年3月31日に書いた記事「Srowly Srowry」も併せて読んで下さいね♪