暗闇の中での発表会



先日のことです。
計画停電の実施で不自由な思いをしている東京の友人のまゆみさんから、とても素敵なお話を聞かせてもらいました。


その日、彼女の住む地域の計画停電の予定は日没からだったらしく、早目の夕食を済ませた親子3人は真っ暗になったリビングに集まっていたそうです。
関西に住む私には想像もつかないくらい、地域全体の停電は深い闇に閉ざされて、真っ暗で怖いとのこと。
地震以降、先の見えない不安感になんとなく気分も沈みがちになる彼女の前で、


「私、ピアノを弾くわ!!」・・・娘さん。


懐中電灯の薄明かりの中で、娘さんのピアノの演奏会が始まりました。
現在27歳になる娘さんは、ずっとピアノに携わってきたお母さんの影響で、幼いころよりピアノを習い、かなりの腕の持ち主です。
娘さんが最初に弾いたのは幼いころの発表会で弾いた曲☆


「これは小学校○年生の時の発表会で弾いた曲だよね♪」
「こんな曲も弾いたね。」


まるで二人で歩んできたピアノの歴史を紐解くかのように、次々に昔の思い出の曲を披露してくれたようです。
真っ暗な家の中で繰り広げられた思い出の発表会はとても楽しく、暗くて辛い停電の時間が満ち足りたひと時に変化したようです。


暗闇の中で、思い出と繋がったピアノの音色は、深く二人の心に響き、親子の関係をも再認識させてくれたのでしょう。
まゆみさんは、音楽で繋がりあっている娘さんとの深いきずなを感じ、とても幸せだったと話してくれました。


私はこの話を聞いてとても感動しました。
なんて素敵な親子なんだろう・・・


お隣に住む男性が、真っ暗な街の様子を観察するために外を歩いてみたらしいのですが、彼女の家から聞こえてきたピアノの音色に「ほっとした」とのこと。
娘さんの奏でたピアノは、家族だけではなくきっと街にも小さな光を照らしたのでしょうね。


地震の影響で不自由な生活を強いられている友人を心配してメールをしたのですが、電話で返してくれた彼女の話に、私の方がすっかり癒され、心が温かくなりました。


素敵な母娘にカンパ〜イ♪