残り野菜に愛を込めて

食べることは身体を作ることの基本と信じて疑わず、食生活には結構真面目に取り組んできたつもりだったのですが、最近気がついたことがあります。


それは。。。


私は、お料理が好きでやってきたのではなく、しなければならないこと、つまり義務感でやっていたのだなぁ、ということです。


栄養のバランスのとれた手作りのお料理を作ることが、子供の心と身体の健全な成長の為に絶対に必要なことだと信じていたし、料理は家族への愛と祈りの表現だと、手をかけ、心を込め、結構頑張ってやってきました。
何よりも、おいしいと喜んで食べてくれる笑顔が見たくて、自然とやる気も出ていたのですが・・・


娘が嫁いで夫と二人になって以来、料理のやる気は急にダウン↓
もちろん夫も、私の作ったお料理をいつも「おいしい」と喜んで食べてくれるのですが、


「私達には、こんな感じのシンプルで、粗食の方が身体にはいいのよね。」


などと、もっともらしい理由を並べながらも、以前に比べ随分手抜きになっていることは否めない事実なんです・・・(笑)
先日瀬戸内寂聴さんと南果歩さんの対談番組をみていた時、寂聴さんが


「私は説法をするのは好きなことではなく、僧侶としての義務だからやっている。本当は小説を書くことが好き。」


と、おっしゃった言葉に、なぜかとても共感したのでした。
主婦としての自分もきっとそうだったんだろうな。
今まで、いい妻、いい母でいなければならないという生真面目さで、主婦業は義務でやってきたのに違いない。。。
その証拠に、先日夫が1週間出張で、初めて自分ひとりになった時、全く料理を作る気がしなかったもの。


もともと野菜が大好きで、食べることは命の移し替えだと、心を込めて料理はしてきたけど、憧れの佐藤初女さんのようには到底なれない。
本当はお料理がそれほど好きじゃなかった自分に今ごろ気づいた私です。


でも、素材のもつ命は大切にしたい・・・その気持ちには全く変わりはありません。
最近の手抜きのお蔭で、冷蔵庫の中で出番を待っている残り野菜に敬意を払い、仕事のない今日は、朝から野菜室一掃大作戦を決行することにしました。


まず1品目は、かぼちゃのスープ。
半分余ったかぼちゃを蒸し煮にしてつぶして裏越しに。早目に使い切る必要のある牛乳と合わせて簡単にかぼちゃのスープの完成です!!


次は使いかけのごぼう、大根、人参、エリンギ、長ネギを入れた具だくさんのお味噌汁。隠し味に酒粕を入れました。
本当は里芋かさつま芋が欲しいところですが、なかったのであきらめ、最後に豆腐を加えました。


3品目はわかめに、セロリ、人参、玉ねぎを加えた中華風の酢の物。


冷蔵庫の野菜室にあった沢山の残り野菜全てに役割を与えられ、冷蔵庫の中は気持ちいい位にすっきりしました。
野菜たちも喜んでいる気がします。


子供はいなくなっても、命の恵みを頂く感謝を忘れず、自分と夫の為に、手をかけ、心を込めておいしい料理を作ることは、一生をかけた私の義務なのかも知れません。
明日からも手を抜かず、ちゃんとお料理しよっと。