大好きな仕事に巡り合って


私は約6年前から、アロマテラピーを中心とした個人セッションをしています。
今年56歳になるので、自宅サロンでこの仕事を始めたのは50歳の誕生日を迎えた直後のこと。
普通の人だったら考えられないような、かなり遅〜いスタートでした。


なぜ、そんな年齢になってアロマセラピストになったの・・・?って、よく聞かれるんですが、今思えば、なるべくしてなったというか、そのように導かれたのだと思っています。


24歳で結婚、25歳で長男を出産、28歳の時には待望の女の子に恵まれ、子供が小さい頃はどっぷりと子育てに浸かるという、平凡だけど穏やかな日々を送っていました。


夫の仕事の関係で、北九州や横浜にも移り住み、その後夫の単身赴任による岡山との二重生活も経験、色々な地域で沢山の人とも出会い、変化に富んだ人生であったことには間違いないのだけれど、子供の成長に伴い、心のどこかに何か物足りなさを感じている自分もいて、目に見えない何かを探していた日々だったようにも思います。


2002年の春は、下の娘が大学に合格し、夫の勤務地も大阪に戻り、ようやく我が家も落ち着きを取り戻したと思った矢先の46歳の5月27日の夜、そんな私の人生観を変えるほどの大きな出来事が起こりました。


夫が突然くも膜下出血で倒れたのでした。


倒れている夫を発見し、呼びかけても反応のないあの時の姿は、今でもはっきり眼の奥に焼き付いています。
混乱した頭の中で、ただ、「私達の人生でとてつもない大変なことが起きた」ということはだけははっきりと理解することが出来ました。


しかし、幸運にもレベル4という重症にも関わらず、夫は一命を取り止めることが出来たのです。
集中治療室に17日間も入っていたことが信じられない程、身体に障害が残ることもなく、その年の秋には仕事にも無事復帰。
奇跡的な回復でした。


ここに来るまで、いくつもの山を越えました。
今ではそんな大病をしたなんて忘れてしまうほど元気になり、普通の人以上に健康的な毎日を送っています。


当時、息子は大学の4回生、娘は大学に入ったばかりで、我が家にとって、最も出費の嵩む大変な時でした。
偶然にも将来のことを考えてマンションを買う計画も進んでいたので、夫の体調の悪さや、今後の人生を考えたら、心配や、不安、思い通りにならない苛立ちで・・・私はすっかり疲れ果てていました。


夫がいつ仕事が出来なくなるかも知れないという不安感の中で、パートを頑張ってきたけれど、本当にそうなった時は、この程度の収入ではとても追いつかない・・・自分がちゃんと稼げるようにならなくては・・・
もちろんフルタイムの仕事に変わることも考えました。


でも・・・ このまま頑張ったら私は病気になるかもしれない。。。
夫の病気以外でも、いろいろと苦しいことが重なって、当時の私はストレスで押しつぶされそうな状態でした。
あの頃は、涙も出なかったから、今思えば、相当に張り詰めていたのだと思います。


・・・もう疲れた・・・


一旦休憩しよう。
自分が楽になるように、少し自分に優しくしよう。
しっかり元気になってエネルギーが溜ったら、本当に頑張らないといけない時には、また頑張れるに違いない。
もしローンが払えなくなったら、その時はマンションを売って賃貸に引っ越せばいいじゃない。
そうなった時は、その時に考えよう。


もちろん食べていくことも出来ないほど困窮した状態ならこんな選択は出来なかったでしょうが、とにかく夫は復帰したのだし、将来の不安のために今頑張るのはやめにしようと、心からそう思ったのです。


今思えば、生まれて初めて、囚われていた不安感を解放し、今まで頑張ってきた自分に優しくなれた瞬間だったような気がします。


なんとか新居への引っ越しも済ませ、家の方も落ち着いて、少し時間のゆとりも出来始めた2004年2月のこと。
友人と難波パークスに遊びに行った時、ふと立ち寄った「生活の木」でアロマの資格があることを知ったのです。
こんなおしゃれな資格が身につき、こんな仕事が出来たら素敵だろうな〜♪


お店の人に興奮気味にいろいろ質問した私は、資格取得の為の入口であるアロマ検定を受けるために必要な教科書などを一気に購入、すぐに勉強を開始し、5月の試験に臨んだのでした。


もともと目標に向かって頑張ることは好きな方でしたが、これなら楽しみながら資格がとれると直感で感じ、その後は資格修得を目指して猛勉強。
翌年にはインストラクターとアロマテラピスト試験にも無事合格、私は晴れてアロマセラピストになれたのです。


そして・・・    今の私がいます。


今はこの仕事に巡り合ったことを心から感謝する日々です。
天職だと思えるこの仕事に導かれるために、あんなに苦しい日々があったのだと思うと、人生には必要なことしか起きないのだということを本気で信じることができるようになりました。


あの時、世間の常識や周りの目、そして何よりも目先のお金に囚われて、パートの仕事を手放せなかったら、きっと今の私はなかったでしょう。


アロマが大好き。
仕事が趣味。
セッションや講習をしてお金を頂き、その上に喜んで頂くなんて、私にとってこれほどまでにやりがいのある仕事はないのだと思っています。


人の身体を触れるなんて好きではないと思っていて、インストラクターを目指して始めた勉強だったけど、自分がとても「いい手」を持っていることにも気がつきました。
自分の内面の問題を何とかしたいと思い、カウンセリングの勉強をしてきたことも、植物が大好きだったことも、すべてここに繋がるためだった・・・すべて必然だと。


アロマセラピストとして人の身体を触れるこ仕事が面白く、どんどん追求したくなり、勉強を重ねていく過程で、素晴らしい仲間達とも出会いました。
お客様という枠を超えて心で繋がり合い、私を見守っていてくれる人もいます。


私は沢山の宝物を手にすることができました。


そしてセラピストとしての活動をしていく中で、自分の体験を通じて気がついたことを伝えたいという思いが募り、約1年半前にブログを始めました。
みんなの心に小さな風を送りたい・・・そんな想いを込めて、ゆっくりのペースですが、コツコツ書き続けています。


誰でも自分では気がつかないほどの、多くの可能性を秘めているのです。
もし今の環境が苦しいなら、そのために人生の多くの時間を費やし、遊ぶことも出来なくなっていたり、ストレスで体調を崩しているのなら、環境を変えるという選択肢もあるのだということを忘れないでください。
握りしめているその手を離しさえすれば、空いたその手で、お金では買えないもっと素晴らしいものを掴むことが出来るのだと思います。


あなたは今に生きています。


将来やお金への不安のために、今の時間を大切に生きているのでしょうか?
あなたは今、本当に楽しんでいるのでしょうか?
身体の声に耳を傾けて、そっと自分に聴いてみてくださいね。


私の体験が、何かのきっかけになればうれしいです。