たとえ今が苦しくても・・・


今回の旅を終えて、私はどうしても伝えたいことがあります。


出発前にあえて夫のことを書いたのは、先が見えないと思った日々から10年経った今では、状況が全く変化し、ハワイにも行くことができるようなった・・・
そんな奇跡が起きることもあるのだ、ということを伝えたかったからです。


先の希望が全く見えず、絶望感に打ちひしがれた日々。
何も悪いことはしていないのにどうして私はこんな目に遭うのか・・・と運命を呪ったこともありました。


今思えば、突然起きた今までとは全く違う現実を受け入れることができなくて、頭ではわかっていても、どうしても認めたくなくて・・・全てを受け入れるまでに多くの時間を費やしたような気がします。


でも・・・決して逃げることはできない・・・それが現実なんだから。
そして、日々をこなさなければならない。
生き抜かなければならない。


そんな中で、私は多くのことを学びました。
幸せな時には気がつかないけれど、自由に身体が動くこと、元気に食べることできること、普通に会話できること、仕事に行けること、みんなで笑い合えること・・・
普段は見すごしがちな当たり前のことが、どれほど幸せで、ありがたいことかということにも気づかせてもらいました。


本当に大切なことに気づいた時、出世することや、名声を得ること、沢山のお金を得ること、そんなことへの執着は全くなくなり、日々笑顔で過ごせたらいいと思えるようになったことも事実です。


そんな経験を得てからの私は、昔の私より少しは成長し、人の苦しみや痛みも、心で受け止めることができるようになった気がします。


そして何よりも、夫の病気をきっかけとして、今の仕事に巡りあった幸運に感謝せずにはいられません。
もしも夫が倒れていなかったら、多分私は大好きな今の仕事にも巡り合っていなかったでしょう。
今だから言えることですが、全ては必要な出来事だったと思えるのです。



当時を思い返せば、まさか夫がこんなにも良くなって、一緒にハワイに行くことができる日がくるなんて、想像すらできませんでした。
でもこんな奇跡もあるのだということを、忘れないで欲しいのです。


困難な状況で苦しい時、先のことを想像して不安に囚われてしまいがちだけど、不安を手放し、ただ「今に生きて」欲しいのです。
人は過去にも未来にも生きることはできません。
過去の苦しい思い出も、先の不安も、それは今起きていることではないのだから・・・
ただ今、この瞬間、目の前に与えられたことだけを丁寧にこなして行く、それだけしかできないし、それだけで十分だと思います。


全ては旅の途中です。まだ終わってはいないのだから・・・


幸せとは、幸せな状況があるのではなく、幸せを感じる心があるだけです。
不幸は幸せの前半分。
物質では得られない、本当の幸せに気づいた時、人生は幸せの連続になる・・・少なくとも幸せを感じる瞬間が以前よりは多くなるのだから。
それってとてもお得なことですよね。
夫とも一緒に乗り越えたきずなは深く、夫婦という枠を超えた、まるで同士のような関係になった気がします。


信じて下さいね。
今苦しくても、それが永遠に続くことはないということを・・・
そして、本当の幸せに気づく前半分だということを。


私の体験が何かのお役に立てたらうれしいです。



明日は伊勢神宮にお礼参りに出かけます。